“効いている感じがしない”ピラティスについて

2025.12.16

ピラティスを受けたあと、
「正直、効いている感じがしなかった」
そう思った人は、少なくないと思います。

汗をかいたわけでもないし、
筋肉が強く張った感じもない。
終わった直後に
「達成感!」という感覚があったわけでもない。
それよりも、
「これで合っているのかな?」
そんな、少し曖昧な感覚が残ったかもしれません。

でもそれは、
身体に何も起きていなかった、という意味ではありません。

ピラティスでは、
その場でわかりやすく感じられる変化よりも、
あとから気づく変化のほうが
先に起こることがよくあります。

たとえば、
レッスン後に立ったときの足裏の安定感。
床に体重がスッと乗る感じ。
呼吸が、
いつもより少し深く入ってくる感じ。
背中や腰まわりに
余計な力が抜けているような感覚。

「何が変わったのかは説明できないけど、
なんとなく違う」
そんな感覚が、
後からじわっと現れることがあります。

ピラティスは、
身体を追い込んだり、
限界まで頑張らせたりする運動ではありません。

鍛える前に、
今の身体がどんな状態にあるのかを感じること。
力を足す前に、
力が通りやすい余地があるかどうかを確かめること。
ピラティスは、
そうした「下準備」のような時間を大切にしています。

だからレッスン中に、
「これが何に効いているのかわからない」
「何を意識したらいいのかわからない」
「呼吸に集中するって、どういうことなんだろう」
そんな疑問が浮かぶのも、とても自然なことです。

実際、体験に来られた方からは、
こうした声をよく聞きます。

それは、
感覚が鈍いからでも、
運動が苦手だからでもありません。

多くの場合、
「ピラティス=トレーニング」という文脈で
身体を見ようとしているだけです。

トレーニングでは、
正解があり、
頑張った分だけの手応えがあり、
「効いている感覚」が
一つの目安になります。

一方で、ピラティスでは
レッスン中に
正解を探す必要はありません。

体験レッスンでは、
こんなふうにお伝えすることがあります。

「今日は、わかろうとしなくて大丈夫です」
「正しくやろうとしなくていいし、
どこに効いているか考えなくていいです」
「代わりに、終わったあとに
自分の身体がどうなっているかを感じてみてください」

この言葉を聞いて、
少し拍子抜けした人もいるかもしれません。
でも、ピラティスでは
そのくらいの距離感がちょうどいいのです。

呼吸についても同じです。

「胸式呼吸ができているか」
「肋骨がちゃんと動いているか」
「今は吸う?吐く?」

そうやって考え始めた瞬間、
呼吸は途端に難しくなります。

だから、まずはとてもシンプルに。

今、息はしているか。
動いている最中に、止まっていないか。

うまく吸おうとしなくていい。
きれいに吐こうとしなくていい。
止めずに動けていれば、それで十分です。

ピラティスで大切にしているのは、
「何かを意識し続けること」よりも、
動いている最中に
自分の身体で何が起きているかに
気づいていくことです。

考えるより先に、
感じる余地を残す。
評価するより先に、
観察する時間をつくる。

その中で、
身体の内側に少しずつ空間が生まれていきます。

「何に効くかわからない」
そう感じる時間が続くこともあります。

それは、
レッスン中に答えを出さなくていい、
というだけのことです。
答えは、
あとから身体が教えてくれます。

レッスン前とレッスン後で、
立った感じや呼吸、
ほんの小さな違いでも
何か一つ感じられたなら、
それは十分な変化です。

ピラティスは、
「効かせる」ことを目的にした運動というより、
「あとで気づく」運動だと考えています。

続けていく中で起こる変化は、人それぞれです。
すぐに手応えを感じる人もいれば、
しばらくは
「よくわからない」時間が続く人もいます。

ただ、
その「よくわからない」時間の中で、
身体の感じ方に
少しずつ余白が生まれていく。
その過程そのものを
面白いと感じられるかどうか。

ピラティスは、
そこから始まる運動だと思っています。

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